あなろぐばあちゃんのつぶやき

Yahooブログ育ち、4人の孫のおばあちゃんです。

イマジンを弾く

 テレビもながめる気になれず、ラジカセも持たずに入院生活を送っていた時期があります。
 ぼんやり日々を過ごすのみ、回復の兆候など自分では何も感じることはできませんでした。
 他の患者さん達と、食卓を囲むことさへできなかった時です。

 ある日、足を運んだのは、人気の少ない午後のデイルームでした。
 そこで、電源がはいったままのピアノが目にとまりました。
 鍵盤に誘われるように、気が付けば「イマジン」を弾いていました。

 大好きな曲を、病んでいた私はまだ覚えていたのです。
 つたない腕ですが、偉大なメロディーは、私の全ての感覚を刺激しました。
 とてもとてもやさしい、大好きな曲です。
 (歌詞もとても、素敵ですよね。)

 この時間を思い出すと、今も胸がいっぱいになり、不思議な涙があふれます。


 他に、大好きなビートルズの数曲と、ムーンライトセレナーデ他わずかなレパートリーを奏でるべく、自宅から楽譜を持ってきてもらいました。
 その時、娘が耳にあててくれたMDウォークマンジョン・レノンの「イマジン」を貪るように聴いたことも忘れられません。



 思い起こせば、これが、回復に向けてのささやかな一歩だったようです。