あなろぐばあちゃんのつぶやき

Yahooブログ育ち、4人の孫のおばあちゃんです。

くまプーのパズル

私の宝物のひとつに、「くまのプーさん」のパズル額があります。

これは、退院のお祝いにいただいた品で、「卒業証書」です。
授与者はハナちゃん(仮名)という、摂食障害のお嬢さんでした。

ハナちゃんは、しばしば主治医に悪態をつくちょっと困ったお嬢さんでした。
ハナちゃんは、ご飯を食べないのでいつもふらふら、ゆらゆらと歩きます。
ハナちゃんは、なのにハイヒールが大好きで、しょっちゅうオシャレをしてお出かけ。
ハナちゃんは、全身に余分な力を一切いれず(はいらず!)、いつもよだれをくってました。
そして、ハナちゃんは、お母さんが大っ嫌いでした。

摂食障害は、母親との葛藤が原因であることが多いと聞いたことがありました。
娘より少し歳の多いハナちゃん。
とんでもないお母さんで入院中の私は、娘のことがとても気になっていました。
(ちょっと太めと気にしている娘のことが。←全然、そんなことないのに。。。)

ハナちゃんのほわほわメークが素敵と、声をかけたのがきっかけでお話するようになりました。
いつか先生に悪態ついて不機嫌なハナちゃんを抱きしめ、背中をさすったことがありました。
よろよろハナちゃんは、腕の中でくにゃくにゃでした。
ハナちゃんは、赤ちゃんのにおいがしていました。
(この時は、注射をする検査がとってもイヤだったそうです。)

こんなハナちゃんと、娘の母親としての話ができたのは退院間近になってのことでした。
「お母さんもきっと、ハナちゃんのこと大好きだと思うよ。」
「お母さん。。。」初めて、ハナちゃんは穏やかな口調でそうつぶやいていました。
その数日後、お別れにとくれたのがくまプーだったのです。
「オバチャン大好き」のメッセージと、素敵な笑顔も心の宝物です。

母親としての自信を持つこともなく、
子供の成長の陰で取り残されたような感覚を感じていた頃でした。
よそのオバチャンが一瞬心がかよいあったと思ったところで、
ハナちゃんには、何のためにもならなかったろうと思います。
でも私はハナちゃんと出会って、
私の母親としての姿と自信を取り戻すことができたように思います。

また、力のはいらない、力のはいっていないハナちゃんの姿は、
力が抜けない、余分な力のはいっている私に、ひとつ道しるべを与えてくれました。

退院時面談の時、主治医に、
糊(とおそらくヨダレ)でベタベタの「くまプーのパズル」の話しを伝えました。
「ホントの卒業証書ですね。」
先生の穏やかな笑顔が忘れられません。