あなろぐばあちゃんのつぶやき

Yahooブログ育ち、4人の孫のおばあちゃんです。

夢を叶える

老父は小さな商家の長男として生まれ、乳飲み子の時実母を亡くしました。
若い頃機械の勉強をして、戦闘機の会社で図面を引き、結核を患い郷里に戻り家業を継ぎました。
放蕩者だった祖父と、継母だった祖母が、父の今は亡き両親です。
苦労の多い人生を歩いてきた人と、思います。
昔、友達と農機具の会社に就職していれば、左団扇だったかも知れないと苦笑いをしたことがありました。

サナトリウムから実家の仮拵えの離れに帰ってきた父。
ヴァイオリンの音がきこえない!
以来、ストマイ難聴の父のヴァイオリンは、実家の押し入れの中で眠り続け、朽ちかけていました。
10年ほど前、私の仕事が縁でその楽器を再生させました。
父には本当はまだ、残酷なことだったのかも知れません。
今大学3年生の娘は、当時まだ分数ヴァイオリンしか弾ける体格ではありませんでした。
でも娘は、「ジイチャンのヴァイオリンが弾きたい。」その一心で、
ヴァイオリンを始めました。
やっと父のヴァイオリンが弾けるようになった時はとても嬉しそうでした。
そして、父がつたない娘の演奏をとても嬉しそうに聴いてくれたことが忘れられません。
今、そのヴァイオリンは娘の宝物で、時々素敵な曲を奏でていることと思います。
ヴァイオリンは形はことなるものの、ひとつの夢を叶えてくれました。
コンサートにも、時々一緒に出かけるようにもなりました。
ヴァイオリンの音に耳を傾ける父は、穏やかでとてもやさしい顔をしています。

また父が言葉にしたことはありませんが、私がきっと父の夢に違いないと思っていることがあります。
それは社会貢献を続けるということです。
戦闘機の図面を引いていたこととは直接関係ないかも知れませんが・・・。
私の子供の頃から防犯のボランティアという、小さな社会貢献を続けています。
昔は「どぐら娘のパパは補導員」、若い私にとってはちょっとキビシイものがありました。(^^;
今朝のニュースで、私の育った地域の防犯活動が取り上げられていました。
電話をしたら淡々とした返事でしたが、それでもチョッピリ嬉しそうでした。

機械屋の夢は、家業であるタバコ屋の店先で、購入した中古の自動販売機の中を開け、でじとあれこれ、時間を忘れて語り合う程度には叶っています。
父は今、父なりの夢を叶えて生きているのです。