あなろぐばあちゃんのつぶやき

Yahooブログ育ち、4人の孫のおばあちゃんです。

出生前染色体検査

イメージ 1

前略
この度は大変お世話になっております。
入院患者かりんとうの義母です。
先日、病状説明の際は、ご挨拶も致しませず大変失礼致しました。
患者とその家族に御配慮いただいた丁寧な御説明をいただき、感謝申し上げます。
お陰様で皆が理解し納得のいく選択をし、辛い中にも希望を持ってかりんとう達を見守ることができます。

ただ、ひとつだけ私にはどうしても気がかりなことがあり、こうしてお手紙を差し上げることに致しました。
本来は先日折角お時間をお取りくださった折りお話しすべきことと存じますが、混乱がやっと終息した状況下で、かりんとうの動揺を避けたく遠慮しておりました。
それは、「障害のある子の選別」についてです。

治療方針を決める判断材料である染色体検査の件、素人で難しいことはわかりませんが、例えば18トリソミーの場合、短いなりの天寿として、延命をしないことは理解できます。
ただダウン等と診断された場合は、重い選択を迫られることになるかと思います。

今回は突然のことで動顛し、親族の混乱の中すぐに上京したい気持ちは山々でしたが、立場上も遠慮があり、私自身は全てを息子に任せ、事態を見守るつもりで過ごして参りました。
また、これからもそうするつもりでおります。
今回一連のやり取りの中で、息子には「少なくとも私は、最悪の事態を含め、全てのことを受入れる覚悟があり、親はどんな状況下でも家族の幸せを築くために、最善を尽くすべきであること。」「最終的にかりんとうの希望優先だが、愛があれば理解や納得が得られる筈で、将来に禍根を残さないためにも、そうすべきであること。」このふたつだけは伝えることができたように思います。

私事、△○×□で長年事務を続けており、生命科学系研究の支援や病院管理の末端事務にたずさわる傍ら、知的障害児支援ボランティアと係わって参りました。
色々な障害のある子やその親達と接して参る中、「どんな子供であっても、親に希望を与えない子供はいない」と、私自身は信じております。
また、たとえ親より短い天寿としても、それなりの幸せが必ずあると信じない訳には参りません。
 またダウン症の排除はあまたの障害の一つの排除に過ぎず、子供は将来様々な障害を背負う可能性もあり、「○○○○(治療方法)を希望しない≒ダウンの児ならば生存を希望しない」選択をした親達がその子の将来に責任を持てるのか疑問に思うところです。
ただこれについては、私共夫婦の共通理解にさえ至っておらず、親戚に脳性小児麻痺による知的障害者を持つ家族もあり、苦労を思えばそれを人に強いることはできません。

出生前診断の倫理上の問題は深淵で、専門の先生方の主張も様々と伺っております。
まして患者や家族には初めて直面する難しい問題で、将来にかかわる厳しい選択であり、周囲の希望が一致しない可能性も大きいと思います。
しかしその中にあって、あくまでも若い親達の希望が何より尊重されるべきと考えます。
あと数日で取り越し苦労になることと思いつつ、告知の際はお心配りいただきたくお願い申し上げる次第でございます。

今回、私どもは、先生をはじめチームの皆様方の真摯で温かみのある御対応に、心から感謝致しております。
先日は△△先生に電話を差し上げました時、つい声を荒げ失礼を申し上げてしまいましたが、どうか、よろしくお伝えいただければ幸いに存じます。
先生方の御苦労はいかばかりかと思いつつも、わがままばかりで申し訳ございません。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

最先端の医療をリードなさる激務の毎日とは存じますが、これから寒さに向かいます。
くれぐれも御自愛の程お祈り申し上げます。

草々


※ 投函しあぐねておりましたら、予想外に早く検査結果が出ました。
  幸いなことに殆ど不要になってしまった手紙の残骸です。
  (心配が消えた訳ではないのですが。)
  先々、ゆっくりとこの問題について考えてみたいと思い、ここに残しておきます。

  カテゴリ、子供の病気としておりますが、病気じゃないよねぇ。。。