歳を重ねてできること

　子供の頃は、「大人になったら出来ること」というのがたくさんあって、早く大人になりたいと思っていました。
　思春期を迎える頃は、大人（正確に言えば大人の女性）になるのが怖くて、一人称をボクで通した時期もありました。
　歳に対する思いは、年齢や個人差で色々です。

　歳を重ねるにつれ、身近な人の死に接する機会も増え、おのずと老いの先にある死を意識することが多くなります。それで誰しも、健やかに長生きしたい、できるだけ若くありたいと願います。　
　今、若々しくいることは素敵だと思います。
　
　でもこの頃、若い頃、できなかったことがたくさんあって、これからそれが出来ると思うとそれはそれで素敵だと思うのです。
　何がしたいと言っても大したことではないのですが。

　昔、真夏の昼下がり、ひとえの着物をきりりと着こなす白髪交じりの方が、お蕎麦やさんにはいってこられ、ざるそばとビールをおいしそうに召し上がって帰って行かれました。
　何のことはないのですが、その所作がとても美しく、思わずみとれたことです。
　真夏の着物も、ひとりお蕎麦やさんでビールをいただくことも、たやすいことのようで、若い私にはできそうもないことでした。
　長い年月を経て、今年の夏あたりチャレンジしても良いかなぁって思っています。