あなろぐばあちゃんのつぶやき

Yahooブログ育ち、4人の孫のおばあちゃんです。

水筒の麦茶

 昔、上の子供が小学校1年生の夏休み、我が家のレジャーはでじが運転するマイカーでお出かけが殆どでした。(私も「優良ドライバー」ですが、地図上の東西南北を、走っている一般公道で前後左右(右左後前?)に置き換えることは至難の業。超方向音痴に加え、狭い道路は離合が苦手とあっては、「運転免許=タダの身分証明書」でしか無い訳です。)
 予定していたレジャーが仕事でつぶれたでじ。延期はあまりにかわいそうなので、簡単なお弁当と水筒を持って、「公共交通機関」を利用してのお出かけとあいなりました。
 子供達を引き連れてバスを乗り継ぎ、船に乗って海辺の観光地を目指しました。(車ならば船は使わない場所です。)子供達は思いがけない「旅行」にすっかりご機嫌で、「ひょうたん島」を見つけスケッチを楽しみました。ただ、到着してからが大変。景色の良い小高い山の頂上を目指す予定でしたが、当然のこと乍ら私自身も歩いて登ったことはありませんでした。
 真夏の炎天下、アスファルトの上り坂は想像を絶するものでした。また、「途中で休んだり水を飲むと、スタミナ切れになる。」という古い教えを守り、蝉の大合唱の中テクテク登るばかり。「着いたらご褒美があるからね。」という言葉を信じる健気な子供達と一緒に、登り着いた時は放心状態でした。本当は「ご褒美」は、そこから望む景色だったのですが、茂った松の枝と子供達の身長では、ご褒美にするには程遠く、内心がっかり。一瞬、子供達に申し訳ないことをしたと後悔しました。
 でも、重いだけだったステンレスの水筒にはいっていた麦茶のおいしかったこと!汗まみれのクシャクシャの顔でゴクゴク。子供達にとって麦茶はやはり最高のご褒美だったようで、幼い子供達と達成の喜びを分かち合いました。
 無謀な冒険旅行でしたが、子供達の素敵な夏休みの思い出となり、私にちょっぴり母としての自信を与えてくれました。当時も、自販機がこんな所までというような辺鄙なところにありましたが、水筒の麦茶は今でも特別な飲み物です。カラカラと小気味良い、氷のかけらの音が、私を素敵な夏の思い出にいざないます。